農地法と異なり、森林法においては、森林の土地(山林)を売買するなどするときに事前の許可は必要とされていない。 つまり、森林である木竹に関する所有権等の権利であっても、相続の場合はもとより、売買や贈与等の場合も、森林法をはじめとする何等かの法令に基づく許可がなければ、その移転、設定をすることができないということはない。 したがって、地目が山林である土地や立木の売買による所有権移転登録申請には何等かの許可書を添付することはない。 ただ、地域森林計画の対象となっている民有林である森林の土地を売買し、新たにその所有者となった者は、その旨の届出をしなければならない。また、条例によって一定の場合には、森林の土地の売買等について自治体への事前届出が求められているところもある(例えば、埼玉県。)なお、開発行為や伐採等については、許可や届出を必要とする場合がある、
森林法において「森林所有者」とは、「権原に基き森林の土地の上に木竹を所有し、及び育成することができる者」をいう(森林2条2項)。つまり、単に木竹の生育している土地やその生育に供されている土地と、そこに生育している木竹の所有者であるだけでは森林所有者には該当せず、所有権をはじめとする何らかの権利に基づいて森林である土地においてに木竹を所有し、育成することができる者をいうことになる。 したがって、不法に木竹を植栽するものは森林所有者には該当しない。 また、「森林所有者等」とは、森林所有者その他権原に基づき森林の立木竹の使用又は収益をする者をいう。(森林10条の7)。
森林法の適用対象となるものは「森林」であり、それは森林法において定義されています。 「森林」とは「木竹が集団して生育している土地及びその土地の上にある立木竹」並びに「その土地の外、木竹の集団的な生育に供される土地」とされている(森林2条1項)。ただし、主として農地又は住宅地若しくはこれに準ずる土地として使用される土地及びこれらの上にある立木竹は除かれるので、木竹の生育生育している人家の庭及びその木竹は、森林から除外される(森林2条1項ただし書)。 一方「山林」という用語もあるが「山林」とは耕作の方法によらないで竹木の生育する土地をいいます。 使用される法令や場面によっても定義は異なりますが不動産登記業務やその周辺の場面にあっては「山林」とは竹木(木竹)の生育している「土地」そのもののことをいい、「森林」とはその生育している「土地」とその「土地」に生育する「竹木(木竹)」とを包含していうことになります。
重要事項説明では、要措置区域(法9条)や形質変更時届出区域(法12条1項・3項)の制限について、相手方への説明が義務付けられています。 ①調査先~区域指定の調査方法については、通常、各都道府県に備え付けられた台帳を観覧するか、担当部署の窓口で確認します。 ②注意点~重要事項説明ではありませんが、法4条では、土地の面積が3,000㎡以上の場合、届出が義務付けられています。
重要事項説明では、第1種又は第2種空港、その他公共用飛行等において、航空機の離着陸等に支障を及ぼす恐れのある行為が禁止されていることを説明します。(法49条1項、55条の2第3項、56条の3第1項、自衛隊法107条2項)。具体的には、建築物(アンテナ等の付属設備を含む)の高さや建築工事におけるクレーンの高さが制限されます。 ①調査先~各空港で、インターネットを利用した「空港高さ制限回答システム」を採用しているところもありますが、原則として、各空港事務所に問い合わせて照会します。空港によっては保安上の理由から、直接訪ねても受け付けてくれない場合がありますので、あらかじめ各空港事務所に電話やメールで問い合わせたほうがよいでしょう。 ②注意点~一般に、標高で制限高さを回答することが多いので、注意が必要です。つまり、実際に建築等可能な高さは、その制限高から、その物件の地盤高さ(標高)を除く必要があります(建築可能高=制限高ー物件の地盤高さ(標高))
重要事項説明では、重要文化財、重要有形民族文化財、史跡名勝天然記念物などにおける制限、伝統的建造物群保存地区における規制などを説明します(法43条1項ほか)。 ①調査先~文化財等の指定の有無について、法律上は原則として、官報又は所有者等に交付される指定書で確認します。また、各都道府県又は市町村の教育委員会でも一定の行為制限を定めている場合があります。 ②注意点~重要事項ではありませんが、周知の埋蔵文化財包蔵地において、土木工事等の目的で発掘しようとする場合、あらかじめ文化庁長官(届出先は教育委員会が多い)に届け出なければならない、とされています(法93条)
重要事項説明では、地域森林計画の対象となっている民有林の開発許可、保安林における立木の伐採等の許可、施業実施協定、その他一定の制限事項について説明します(法10条の2第1項ほか)。 ①調査先~都道府県又は市町村の森林法担当で、民有林、保安林に指定されていないか確認します。 ②注意点~伐採等の対象となるのは、法第2条又は5条で規定されている森林で、農地や住宅地等は含まれないこととされていますが、すでに違法に伐採されている場合もありますので、外形にとらわれずに注意することが必要です。
重要事項説明では、土砂災害警戒区域の指定の有無(法7条1項)。特に土砂災害警戒区域指定の有無は取引態様に関係なく、相手方に説明する必要があります。 ①調査先~都道府県の担当部署で確認しますが、関係図書を市町村にも送付することになっており、市町村の担当部署でも確認できます。 ②注意点~区域指定の判断材料となる基礎調査については、各都道府県に結果の公表が義務付けられていますこれを受けて、基礎調査の結果は、重要事項ではありませんが、故意に事実を告げず、又は不実のことを告げる行為は宅建業法第47条1号に違反すると解されています。
重要事項説明では、河川区域、河川保全区域、河川予定地又は河川保全立体区域における一定の許可を説明します(法26条1項ほか)。 ①調査先~上記の区域に指定されているかどうかは、各河川を管理する地方整備局又は都道府県の河川管理担当部局で確認します。 ②注意点~主に河川法に定める一級河川、二級河川などが対象になりますが、市町村が指定する準河川についても上記①の制限が準用されますので注意が必要です。
重要事項説明では、宅地造成工事規制区域内で行われる一定の切土、盛土等の宅地造成工事について、許可が必要になること等を説明します(8条1項、12条1項)。また、規制区域外でも造成宅地防災区域に指定されている場合は、取引態様に関係なく、重要事項説明が必要になります(法20条1項)。 ①調査先~宅地造成工事規制区域又は造成宅地防災区域かどうかは、各都道府県で確認しますが、関係市町村にも通知されるので、各市町村の担当部署でも調べることができます。 ②注意点~宅地造成工事を伴わない場合でも、一定の高さの崖がある場合は、法以外の条例等に基づき建築が制限されることがあるので、宅地造成工事規制区域の指定だけでなく。建築関係の条例にまで注意することが必要です。

さらに表示する