自ら売主制限。③

 ③手付の額・性質の制限

 

 〇手付の性質の制限

   取引において、買主が売主に手付金を支払う場合があります。手付

  の性質については、当事者間で決めることができますが、何も取り決

  めがない場合には、「解約手付」と推定されることになります。しか

  し、宅建業法の自ら売主制限では、「常に解約手付として扱う」こと

  になります。また、買主に不利な特約は無効となります。

 

  *民法の規定

   相手側が履行に着手するまでは、買主は手付を放棄して、売主は手

  付の倍額を償還することで契約を解除できる。

 

 

 〇手付の額の制限

   民法では、手付の額は当事者間で自由に決めることができます。1

  億円の物件に対して、手付金9,000万円であっても良いのです。

   しかし、宅建業法の自ら売主制限では、手付の額は「代金の10分

  の2まで」と決められており、それを超える手付を受領することはで

  きません。10分の2を超える額を取り決めたとしても、「それを超

  える部分は無効」となります。

   例えば、1億円の物件の場合、手付金は2,000万円までになり

  ます。もし、3,000万円と取り決めて手付を受け取ったとして

  も、10分の2を超える1,000万円の部分は無効ですから、買主

  が手付解除をした場合、売主は超過分の1,000万円を返却しなけ

  ればなりません。